ギャンブル広告

この10年間で、ギャンブル広告が爆発的に増えました。

スマホ、アプリ、ソーシャルメディアによりマーケティングの機会が拡大するなか、2008年の豪高等裁判所の判決も、ギャンブル広告の大幅な増加に寄与しました。

この判決により、ブックメーカーはオーストラリア国内のどこからでもベットを受け付けることができるようになりました。同裁判所はさらに、州や準州が国内の他の地域に出された広告を禁止することは認められないだろうとも述べています。ビクトリア州など一部の州・準州で実施されていた禁止事項は撤廃されました。この高等裁判所の判決、そしてそれに続く解禁により、オーストラリアで営業するギャンブル事業者の数は大幅に増加し、業界の競争も激化しました。

ニールセン​・メディア・リサーチ (NMR)によりますと、オーストラリアのギャンブル部門が2018年に広告費として支出した金額は、前年の8,970万ドルから2億7,320万ドルに増加しました。これにはスポンサーシップや、スポーツの生放送中などの番組内素材は含まれていません。

ビクトリア州政府は、2017年9月に車道、公共交通機関、公立学校の150メートル以内におけるギャンブル広告の禁止を定めました。ビルボードや、駅や橋などのインフラなど、スタティック(静的)広告はすべて法律の対象となります。

ビクトリア州では、マスメディアにおけるスロットマシン広告も同様に禁止されています。ただ、社会では、放送およびデジタルメディアにおけるスポーツベッティング広告の拡大、特にその若者への影響に対し、懸念の声が高まっています。この懸念は、調査結果によって裏付けられています。

財団が資金提供したある調査によりますと、2016年にオーストラリアの無料テレビ放送で放送されたギャンブル広告の数は毎日平均374件に上りました。しかもその3分の2は、若者の目に触れやすい午前6時~午後8時29分の時間帯に放送されていました。スポーツ番組に至っては、1時間当たりのギャンブル広告数がスポーツ以外の番組の約4倍に上っていました。

オーストラリアでは、G指定以下のテレビ番組なら午前6時~8時30分および午後4時~7時、子供向けの番組なら午後5時~8時30分の時間帯における賭博関連商品の広告は許可されていません。2018年までは、スポーツ中継はこれらの制限から免除されていました。2018年3月30日以降、午前5時~午後8時30分の時間帯におけるスポーツ生放送中のギャンブル広告が禁止されることになりました。最新ギャンブル広告ガイドラインが施行されていますので、オーストラリア通信メディア庁(ACMA)のウェブサイトで詳細をご確認ください。

さらに、付則的な規制が2018年9月28日に新たに採択されています。これにより、午前5時~午後8時30分の時間帯における動画配信によるスポーツ中継のギャンブル広告が制限されました。

この研究は2016年に同財団が支援し、ギャンブル系事業者によるオーストラリアのスポーツのスポンサーシップについて行われたもので、ニューサウスウェールズ州とビクトリア州のコミュニティスポーツ施設で子どもや保護者からデータを集めました。調査対象となった8歳~16歳の子どもたちの4分の3がギャンブルブランドを少なくとも1つ知っており、4分の1は4つ以上のブランドを知っていました。

さらに、子どもたちには、ある種のマーケティングが他よりも影響力があると考えており、特に有名人関連のCMの影響力が強いと考えていることが分かりました。広告とはわからないような面白い映像に子どもたちが影響を受ける可能性もあります。